歯周治療とは
歯周病とは“細菌感染”によって生じる炎症性疾患です。
歯と歯肉の境界(歯肉溝)に細菌が停滞することで、歯肉に炎症が生じ、それが進行すると歯槽骨(歯を支える骨)の破壊を生じます。
この骨破壊が進行すると歯を支えきれなくなり、最終的には抜歯処置が必要になってしまいます。歯周病は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、病態が軽度~中等度までは自覚症状がほとんどありません。歯がぐらつく、ブラッシング時に出血する、口臭を指摘されたといった状態になった場合には、その病態は重度を示していることがほとんどです。
口腔内には300~500種類の細菌が住んでいますが、そのすべてが我々にとって不都合なわけではありません。歯周病の原因菌は同定されており、歯周病の治療に当たり口腔内細菌のパターンを知っておくことも治療の一助となります。
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現代の歯周治療
4つのポイント
補綴環境の改善
失われた歯周組織の再生
メインテナンスしやすい
歯周環境の構築審美性の改善
現代の歯周治療の目的としては、歯石除去を含めた疾患の進行阻止に加えて上記の4項目が当てはまると考えます。これらを具体的に実践していくためには、次のような治療を有機的に組み合わせていく必要があります。
歯周形成外科
歯周組織再生療法
歯列矯正治療
インプラント治療
これらの治療方法を有機的に組み合わせることが、歯科医療の質の向上につながり、歯周治療を含めた患者さまの口腔内の安定、ひいては全身的な健康の回復に貢献すると考えます。
歯周組織再生療法
歯周病が進行した結果として生じる「歯周支持組織の破壊」は患者さま自身が良好な口腔ケアを行ったとしても、自然治癒や自然再生は望めません。 歯科医師のもとで歯周組織再生療法を受けることで、その目的が達成されます。今日、歯周組織再生療法をその手技により大別すると以下の3つに集約されます。
フラップキュレッタージ単独
GTR法
EMD法
当院では、歯周病の状況や状態に応じて上記の3つの手技を駆使し、予後までを考えたうえで適切な治療を行なってまいります。
治療料金
※料金はすべて、税込表示になっています
- 歯冠長延長術(1歯)¥16,500
- 歯周組織再生療法(1ブロック)¥220,000
- 遊離歯肉移植(1ブロック)¥220,000
- スタディモデル製作費用¥22,000
- プロビジョナル(仮歯修復)チェアーサイド ¥6,600
印象後製作 ¥13,200
治療 症例
症例1
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1.歯周形成外科 根面被覆術
数年前、つくば市の矯正専門医のもとで全顎矯正処置を受けた、初診時45歳の女性。主訴は、矯正治療後に進行した、上顎左右の前・臼歯部ならび下顎左側臼歯部に観察される、歯肉退縮を改善してほしい、というものでした。
主訴の解決に根面被覆術(上皮下結合組織移植術)を適用することにしました。 -
2.受容側の調整
受容側である、右上前臼歯部歯肉を全層弁で剥離後、減張切開を加えて、粘膜の伸展性を確保しました。
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3.供給側の調整
供給側である、左上口蓋側から上皮付き結合組織を採取いたしました。
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4.結合組織移植
採取した結合組織を、退縮が一番進んでいた右上犬歯の歯根表面に位置付け、懸垂縫合を併用して、根面被覆を図りました。
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5.術後経過(2018,08,29)
術後1年半が経過した時点での口腔内所見です。
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6.術前
術後
上が術前、下が術後の比較になります。患者さんの主訴は解決されました。左下第一大臼歯部は根分岐部病変を生じていたため、リグロスを用いた歯周組織再生療法を併用しております。
このような歯周形成外科も歯周治療の目的の一つと言えます。
症例2
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1.歯周組織再生療法
初診時57歳の女性。
◉主訴は右上下奥歯の歯茎が腫れて痛む。 -
2.47:Vital test(-)
Mesial inclination & Deep intrabony defect
電気診の結果、#47は失活歯であったため根管治療後に、歯軸改善、骨縁下欠損の改善を図ることにしました。
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3.Defect Angle(#47)
デフェクトアングルは遠心側で43°を示していましたが
◉CT所見から骨欠損形態は4壁性であり、郭清を的確に行えば歯周組織の再生は可能であると診断しました。 -
4.#47:フラップキュレッタージ
#47に対してはフラップキュレッタージを行いました。術中全周にわたり10㎜に及ぶ骨縁下欠損が確認されました。
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5.術後経過
術後経過から良好な再生をきたしているものと判断しました。
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6.#47:歯軸改善 & #46:インプラント埋入
限局矯正後、
◉#46欠損部にはインプラントを適用し、全顎矯正時の固定源に加えました。 -
7.全顎矯正治療
初診時
◉全顎矯正適用後、最終修復完了時の口腔内所見。 -
8.術後経過
初診時
◉同時期の右下臼歯部X線所見です。#47周囲は骨レベルの平坦化が確認され、インプラントと天然歯の共存が図られています。このように症例選択、加療の順番を含めた的確な術式選択が行えれば、フラップキュレッタージ単独でも歯周組織の再生を図ることが可能になります。
症例3
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1.歯周組織再生療法(EMD)
2008年5月初診時51歳の女性です。主訴は右下臼歯部の歯肉腫脹と疼痛でした。
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2.#47 X線所見
主訴の部位である#47のX線所見からは、近心側での歯槽骨吸収が顕著でした。手前の#46は欠損した状態で、#47は近心傾斜を示しています。歯周初期治療を徹底した後に、#47の近心傾斜を改善することにしました。
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3.#47 近心傾斜の改善
部分矯正治療を併用し、#47の近心傾斜を改善いたしました。
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4.Defect Angle(#47)
#47の歯軸は改善しましたが、症例2で示したDefect Angleは悪化しました。結果として、現状ではより多くの歯周組織再生が望めない状態でした。
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5.Defect Angle(#47)の改善
そこで前方の#46の欠損部にインプラントを適用し、Defect Angleの鋭角化を図ることにしました。
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6.#46部:インプラント埋入
インプラントフィクスチャーの埋入深度を調整し、インプラントの最上面を#47のCEJ(セメントエナメル境)に一致させました。
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7.#47:EMD(エムドゲイン・ゲル)
#47には根分岐部病変が存在しています。EMDに骨補填材を併用し、再生療法を行いました。
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8.術後経過 (2020,10,23)
再生療法適用から、11年5か月後の口腔内写真とX線所見です。歯肉の炎症所見は認めず、X線所見からは#47周囲に良好な歯周組織再生が確認されます。
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9.術後経過 (CT所見)
CT所見からは#47近心部ならびに根分岐部の歯周支持組織の改善を認めます。炎症をコントロールし、インプラントによる強固な咬合支持を与え、咬合力の分散が図られた結果であると判断しております。
症例4
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1.歯周組織再生療法(GTR)
2009年8月初診時66歳の男性です。主訴は下顎左右犬歯部の歯肉腫脹と動揺ならびに疼痛でした。
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2.#33X線所見 & 口腔内所見
#33はX線所見から、根尖周囲での骨破壊が進行していることが判ります。口腔内所見から舌側の歯肉退縮が顕著で、歯根面が口腔内に露出しています。歯髄の生活反応は確認出来ました。
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3.#33CT所見
CT所見から、遠心側と唇側にわずかながら支持骨が存在しますが、唇舌的には支持骨が抜け落ちています。犬歯は咬合再構成時のキーを握る歯になるため、極力保存する方向で検討しました。
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4.再生療法の選択
オープンフラップデブライドメント(歯肉を翻転した根面廓清術)の治療成績に関するメタ分析から、本症例ではGTR法を適用することにしました。
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5.#33 OFD (2008,12,08)
歯肉弁を翻転して、歯根周囲の状態を精査いたしました。骨縁下には歯石の沈着が観察され、CT所見のとおり、支持骨は唇舌的に喪失しておりプローブが貫通する状態でした。
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6.#33 GTR
根面デブライドメント後、補填材を骨欠損部に適用し、吸収性メンブレンにて被覆しました。
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7.#33 Reentry (術後4年)
術後4年経過時点でリエントリーを行いました。#33の近心から舌側にかけて骨再生が確認出来ます。
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8. 術後経過
左のX線所見は、初診から13年2か月、GTR適用から11年11カ月が経過した時点ものです。#33支持骨レベルは近遠心的に平坦化しており、ブリッジの支台歯として問題なく機能しております。炎症のコントロールとともに定期的なメインテナンスを行う事で、長期予後が望めると考えます。
アクセス
ACCESS
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住所
〒010-0916 秋田県秋田市泉北1丁目8-9
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診療時間
[平日]9:00~12:30 / 14:00~18:30
[木曜]9:00~13:30 / 休診
[土曜]9:00~12:30 / 13:30~17:00 -
休診日
日曜日・祝日・木曜午後
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