根管治療(歯内療法)とは

歯内療法の目的は、「根尖性歯周炎の予防と治療」にあるとされています。
具体的な処置内容としては
①生活歯髄療法 ②抜髄処置 ③感染根管処置 ④再治療 ⑤外科的歯内療法 ⑥外傷(脱臼歯、亜脱臼歯への処置) に分類されます。

ラバーダム防湿の重要性

1965年にKakehashiらが、歯髄の治療に最も影響を与える要因は細菌であるという論文(細菌感染説)が発表されて以来、細菌感染をいかに阻止した環境で治療を行うかが、最重要項目とされています。

その大前提となるのが、「ラバーダム防湿」の適用です。

言い換えれば、ラバーダム防湿が出来なければ歯内療法処置を行う事は禁忌となります。

しかしながら、現状はどうでしょうか?
2011年に「わが国における歯内療法の現状と課題」として、東京医科歯科大学の須田英明先生が以下のような報告をなさっておられます。

このグラフから読み取れることは、日常臨床において、ラバーダムを必ず併用する歯科医師は、 日本歯内療法学会所属の歯科医師で25.4%、一般歯科医師においては僅か5.4% に過ぎないという実態です。
須田英明先生の論文はこちら

当院の根管治療は

当院では、ラバーダム防湿は必須事項としており、根管治療時には、マイクロスコープ(手術用顕微鏡)、NiTiロータリーファイルを併用し、より質の高い根管治療を実践しております。

また根管治療終了後には、質の高い修復物を装着することで、歯の良好な予後が期待できます。

治療 症例

  • 症例1
  • 症例2
  • 症例3

症例1

  • 1.初診時口腔内写真

    口腔内の複数個所の歯肉腫脹ならびに咬合痛を主訴に来院された男性。

  • 2.初診時デンタル診査(排膿路確認部位)

    不快症状を認める部位のレントゲン診査を行うとともに、問題解決に向けた治療計画を立案いたしました。

  • 3.治療経過

    各歯の再根管治療に際しては、ラバーダム防湿をはじめとする、根管治療を行うに際しての原理・原則の厳守は必須事項になります。

  • 4.治療経過

    上段が術前、下段が術後経過観察時のレントゲン所見です。術前に観察された根尖周囲の透過像が縮小していることがわかります。

症例2

  • 1.右上臼歯の根管治療を1年続けているが改善しない(2010/12/18)

    右上第一大臼歯の根管治療を他院にて1年間続けているが、改善しないことを主訴に来院された女性。

  • 2.感染根管処置

    根管治療の原則を順守して、根管充填を行いました。

  • 3.感染根管処置後の経過

    根管充填後、2か月経過時点で、当該歯の粘膜に腫脹が観察されました。レントゲン所見からは上顎洞底線と根尖が重なっており、歯性上顎洞炎を疑いました。レントゲンだけでは確定診断が行えないためCT撮影を行うことにしました。

  • 4.CT診査 (2011/04/12)

    CT所見からは左側の上顎洞は真っ黒(正常所見)なのに比較して、右側の上顎洞底には上顎洞粘膜の肥厚が観察されました。

  • 5.CT診査 (2011/04/12)

    矢状断のCT所見から 右上第一大臼歯の頬側2根に問題を生じているものと診断しました。

  • 6.歯根端切除手術 (2011/04/16)

    マイクロスコープ(手術用顕微鏡)下で、頬側の粘膜を翻展し、歯根端部を露出させたのちに、根尖部から3mmの位置で頬側2根の歯根端切除を行いました。露出根管に対しては、逆根管形成を行い、MTAを用いた逆根管充填を行って、粘膜を復位しました。

  • 7.術後経過

    術後5年経過時点のレントゲン所見には異常所見は認めず、良好な機能が維持されています。

  • 8.術後経過

    同時期のCT所見からは、上顎洞粘膜の肥厚も改善されています。通常の根管治療で治癒しなかった場合に、マイクロスコープを併用したモダンテクニックによる外科的歯内療法を適用することで、93%の歯が保存可能になるといわれています。

症例3

  • 1.上顎前歯のブリッジが動く(2008/05/16)

    主訴は上顎前歯ブリッジの動揺で、#21欠損に対し#12,11,21を支台歯としたブリッジ修復が行われていました。支台歯はX線所見から、いずれも歯肉縁下カリエスに罹患していることが観察され、根尖病変の存在を認めます。

  • 2.上顎前歯ブリッジの撤去時口腔内所見

    #12,11,22はいずれも歯肉縁下カリエスが進行しており、現状のままではカリエス除去後に、ラバーダム防湿用のラバーダムクランプが掛けられない状態です。

  • 3.部分矯正(歯根挺出)&感染根管処置

    上顎前歯部には矯正装置を装着し、歯根挺出を行って、歯肉縁上に健全歯質を確保しラバーダムクランプが掛けられる状態になってから、感染根管処置を行いました。

  • 4.リテイナー(保定装置)装着

    欠損部へのインプラント埋入や全顎矯正治療が終了し、全顎プロビジョナル(仮歯)修復後リテイナー(保定装置)装着時の口腔内所見です。#12,22の根尖部透過像は消褪しておらず、口腔内所見からも#12,22根尖相当部に腫脹が確認されます。通常の根管治療では治癒が得られなかったとの診断の元、外科的歯内療法を行うことにしました。

  • 5.外科的歯内療法(歯根端切除術) (2010/10/22)

    顕微鏡下で歯根端切除術を行い(マイクロエンドサージェリー)、MTA(Mineral trioxide aggregate)にて逆根管充填を行いました。

  • 6.術後経過 (術前・術後X線所見)

    左に示した術後X線所見からは#12,22の根尖部透過像は改善しており歯根長の短い#11も、#21に埋入したインプラントサポートにより問題なく機能しています。

  • 7.術後経過 (術後CT所見:2017/10/24:術後7年経過)

    術後CT所見(矢状断所見)からは、上顎前歯部の根尖周囲には歯槽骨の再生が観察され、根尖周囲の治癒が確認されます。

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